国民年金の利回りを計算!もらえる額は減るだろうけどお得な保険制度

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こんにちは、ゆとらぼ(@yutolab_fire)です!

今回は国民年金はもらえる額が減るだろうけど、それでもお得な保険制度、というテーマで解説していきます。

国民年金は全国民が加入義務となっているので、特別な事情がない限りは加入せざるを得ないのですが、どうせ払うなら得な制度であって欲しいですよね?
この記事を読むと、

  • 国民年金の利回りがわかる
  • 繰り下げ受給でさらに得になる
  • 前納や付加年金を組み合わせてもお得になる

ということがわかります。

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国民年金は77歳以上になれば得になる制度

まず結論として、国民年金は77歳以上まで生きることができれば得になる制度であるといえます。

国民年金は20歳から60歳まで国民年金保険料を毎月支払い、65歳から老齢基礎年金を受け取る年金制度です。

会社員の方は厚生年金の加入が義務となっていますが、厚生年金保険料の支払いの中に国民年金分も含まれているので、特別な事情がない限りは全員が納めています

このブログでは、民間の個人年金保険などは利回りが低すぎるぼったくり投資商品だと紹介していますが、その一方で国民年金は悪くない投資商品だということがわかりました。

しかし、少子高齢化が進行し続けている日本では、国民年金保険料は上がり続ける一方で、もらえる年金額は徐々に減っています

それを考慮しても得な制度といえるか、まずは国民年金保険料の推移をみていきましょう。

国民年金保険料は平均1.38%で上昇し続けている

ここ最近の国民年金保険料は、年平均1.38%で上昇しています。

下図は、1975年から2020年までの国民年金保険料の推移を示したグラフです。

日本年金機構 国民年金保険料の変遷 より作成

国民年金保険料は1975年時点で月額1,100円でしたが、きれいに右肩上がりを続けて1998年には13,300円まで上がり、23年間で10倍以上となりました。

1998年から2004年は13,300円で一定でしたが、2005年以降は上下を繰り返しながらも上昇傾向にあり、2020年4月以降は月額16,540円となっています。

グラフを見ると、1998年以前と比べて2004年以降は上昇率が緩やかになっていることがわかります。
国民年金保険料は物価を考慮して決定されるので、経済成長を続けていた時代よりも保険料が上がらなくはなってきています。

今後の日本の状況を考えると2004年以降の推移でみた方が正確だと思いますので、2004年~2020年の推移にスポットを当てたグラフが下図です。

日本年金機構 国民年金保険料の変遷 より作成

2004年から2020年の平均増加率は1.38%となりますので、今後40年間は毎年1.38%ずつ国民年金保険料が上昇していくと仮定してシミュレーションしてみましょう。

2020年時点で20歳の方が、平均増加率1.38%の国民年金保険料を60歳まで払い続けた場合、支払総額は約1,050万円になります。

結構な額を支払うことになりますが、それに対してもらえる年金の額は年々減っています。
40年後にもらえる年金はいくらになるか、確認してみましょう。

国民年金受給額は年平均0.133%ずつ減っている

国民年金の受給額は、毎年0.133%ずつ減っています

下図は1998年から2019年までの老齢基礎年金の推移を示したグラフです

ここで示しているのは、20歳から60歳まで国民年金保険料を満額納めた場合にもらえる年間の老齢基礎年金です。

上がり続ける国民年金保険料とは対照的に、2002年以降徐々にもらえる年金額が減ってきていることがわかります。

2004年から2019年の老齢基礎年金は平均すると年0.133%で減少しているので、この値を基にシミュレーションしてみましょう。

2020年時点で20歳の方が、平均増加率-0.133%の老齢基礎年金を受け取る場合、65歳時点では年額約73.4万円となります。

その後も年平均0.133%で減少し続けた場合に、内部収益率はどうなるか計算してみます。

内部収益率は77歳でプラスに転じる

シミュレーションの想定は以下の通りとします。

  • 2020年時点で20歳の方が、60歳まで国民年金保険料を満額納める
  • 社会保険料控除による節税効果は所得税5%、住民税10%として考慮する
  • 国民年金保険料は毎年1.38%で増加し続ける
  • 老齢基礎年金は65歳からもらい始める
  • 老齢基礎年金は毎年0.133%で減少し続ける

この条件で内部収益率を計算すると、以下のグラフの通りになります。

ここで、内部収益率とは投資によって得られる将来のキャッシュフローの現在価値と、投資額の現在価値が等しくなるような割引率のことです。

簡単に言うと、内部収益率が高いほどリターンが大きい投資であるという解釈をしてもらえれば差し支えありません。

上図をみると、77歳で内部収益率がプラスに転じていることがわかります。
つまり、77歳まで生きれば支払った保険料を回収できることを表しており、それ以降は長生きするほど得であるといえます。

厚生労働省の主な年齢の平均余命によると、2018年時点の平均寿命は男性81.25歳女性87.32歳であるため、国民年金は大多数の人にとって得になる可能性が高い保険であるといえます。

国民年金の繰り下げ受給はさらに得になる

年金は通常65歳から受給が開始されますが、受給開始を遅らせることでもらえる年金の額が増える制度があります。

最大70歳まで受給開始を遅らせることができ、増額率は

増額率= (65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までに月数) × 0.007
(日本年金機構 老齢基礎年金の繰下げ受給より)

という式で表されます。

70歳まで受給開始を遅らせた場合は、増額率は42%となります。

例えば、2019年の老齢基礎年金は年間780,100円ですが、70歳まで繰り下げ受給をした場合には年間110.7万円まで受給額が増えるのです。

この制度を利用した場合に、内部収益率はどうなるのかを比較してみましょう。

上図は65歳から受給した場合と、70歳から受給した場合の内部収益率の比較を表したグラフです。

スケールがわかりにくくなるので、75歳以降の比較にしています。

内部収益率がプラスに転じるのは、65歳から受給した場合は77歳でしたが、70歳から受給した場合は78歳なので、保険料を回収できる期間にはたった1年しか違いはありません

そして、80歳時点で繰り下げ受給をした方が内部収益率が上回り、それ以降差は大きくなっていきます。

100歳まで生きることができれば内部収益率は3.71%となり、かなり良質な投資といえるのではないでしょうか。

前納制度と付加保険料を利用したら

国民年金は悪くない投資であることがわかりましたが、これよりもさらにお得になる制度があります。

それが、前納制度と付加保険料です。

ただし、これらは厚生年金に加入している会社員や公務員の方は利用できず、主に個人事業主向けの制度となります。

前納制度

前納制度は6ヶ月分、1年分、2年分の国民年金保険料を一括前払いした場合に、保険料が割引される制度です。

2019年時点では、毎月支払う場合には2年間で393,840円かかりますが、クレジットカードで2年前納した場合には18,328円分節約することができます。

詳細は下記で解説しているので、見てみてください。

※なお、国民年金の前納制度は毎年2月末が申込締切になるので、ご注意を。

今回はクレジットカードで2年前納した場合の、18,328円 ÷ 393,840円 = 4.65%の割引が得られると仮定して、上昇する国民年金保険料に適応して考えます。

付加保険料

付加保険料とは、毎月400円を追加して支払うことで、もらえる年金額が上がるという制度です。

もらえる年金は年間で

200円×付加保険料納付月数
(日本年金機構 付加保険料の納付のご案内 より)

だけもらえるため、2年間で回収できる計算になります。

ただし、国民年金基金に加入している方は付加保険料を納めることはできませんのでご注意ください。

以上の前納制度と付加保険料を活用した場合の内部収益率は、以下のようになります。

前納制度と付加保険料を納付した場合には、77歳で内部収益率がプラスに転じました

制度を利用しなかった場合を上回り続けて、100歳まで生きることができれば内部収益率4.0%という素晴らしい値を得ることができました。

国民年金は破綻しなければ良質な投資商品

以上をまとめると、

  • 国民年金は77歳以上まで生きられれば元が取れる
  • 70歳からの繰り下げ受給はメリットが大きい
  • 前納制度、付加保険料制度を使ってさらにお得になる
  • 100歳まで生きられれば内部収益率は4.0%になる

民間の個人年金保険の利回りは0.5%前後のものが多く、非常に粗悪な投資商品です。

一方で、国民年金は制度を活用することで、長生きすればするほど大きなリターンを得られることがわかりました。

あくまでも破綻しないことを前提としたシミュレーションですが、私は日本政府が自国通貨建てで国債発行し続ければ破綻しないと考えています。

これに関しては様々な意見があると思いますが、色々な主張に触れて見聞を広めていきましょう。

知らないことは大きな損になるので、正しい知識を学んでいく姿勢を忘れないようにすることが大切です。

その他の社会保険料を安くする方法は、下記で解説しています。

所得税や住民税の節税を学びたい方は、下記からどうぞ。

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